2026年 昆布業界予測①|原藻不足時代の勝ち筋― 利尻昆布を“使える店”と“使えない店”に分かれる
2026年版 昆布業界予測①|原藻不足時代の勝ち筋
―― 利尻昆布は「使える店」と「使えない店」に分かれる ――
はじめに|2026年、昆布業界で起きている静かな変化
現在、弊社の昆布は日本全国の日本料理店をはじめ、フレンチ、ラーメン、蕎麦、しゃぶしゃぶなど、さまざまな業態で使っていただいています。
日々、料理人の方々と話をする中で、ここ1年である共通した変化を強く感じるようになりました。
それは”利尻昆布を使うことをやめた店が増えたということ”です。
出汁原価率の問題から、利尻昆布を手放す店が、少しずつ増えている。
これは大きく報じられることのない、静かな変化ですが、確実に業界の足元で進んでいます。
一番大きな原因は、”価格”です。
仕入れ価格が上がること自体は、珍しい話ではありません。
「利尻昆布を使い続けられるかどうか」という判断そのものが、現場で起き始めています。
第1章|なぜ今、利尻昆布の値上げが続いているのか
利尻昆布の価格について、
「今年は不作だったから」
「来年は戻るだろう」
そんな声を耳にすることがあります。
しかし、現実はそこまで単純ではありません。
原藻量の減少は、もはや一時的な現象ではなくなっています。
海況の変化、磯焼け、採取を担う人の高齢化や減少。
こうした要因が重なり、原藻そのものが恒常的に減っていく構造ができつつあります。
今起きているのは、悪い年ではなく、これからの通常状態への移行です。
その中でも利尻昆布は、特に影響を受けやすい立場にあります。
透明感のある出汁、香りの立ち方、雑味の少なさ。
簡単に代替できない特性を持つがゆえに、原藻不足と価格上昇の影響を真正面から受けています。
第2章|利尻昆布の値上げに耐えきれず、辞める会社が増えている
値上げの影響が最初に表れるのは、
利尻昆布を「当たり前の存在」として使ってきた層です。
明確な理由や設計があるわけではなく、
「昔から使っているから」
「利尻なら間違いないから」
そうした理由で選ばれてきた場合、値上げは大きな見直しのきっかけになります。
特に、
- 出汁原価率を厳密に管理している業態
- 価格転嫁が難しい店舗
では、「味は好きだが、使えない」
という判断が現実的になります。
ここで大切なのは、
利尻昆布の品質が落ちたわけではない、という点です。
評価は変わっていない。ただ、店の設計と合わなくなった。
それだけの話です。
表に出るデータはありませんが、
使用量の縮小、用途の限定、部分的な置き換え。
こうした動きは、すでに各地で起きています。
第3章|2026年、昆布業界に起きる3つの分かれ道
これからの昆布業界では、いくつかの明確な分岐が生まれます。
一つ目は、
利尻昆布を使い続ける店と、辞める店。
分かれ目は、価格への耐性ではありません。
「なぜ利尻昆布を使うのか」を、自分の言葉で説明できるかどうかです。
二つ目は、
昆布をコストとして見るか、価値として見るか。
出汁を単なる原価要素として扱うのか、
店の味を支える軸として捉えるのか。
この視点の違いは、今後さらに大きな差になります。
三つ目は、
仕入れを“価格”で決めるか、“理由”で決めるか。
価格表だけを見て判断する取引は、少しずつ限界を迎えています。
背景や年次、特性まで含めて考える姿勢が求められています。
弊社は、昆布のあらゆる部分を取り扱っています。
出汁原価を下げたいという相談があれば、それに応じて昆布の部位・産地などをご提案いたします。お問い合わせは、SNSDM・HPから受付中です。